Project Story

プロジェクトストーリー ②

学校向け学習支援サービス
『まなりぴ』開発

児童一人ひとりの「自分の言葉で説明できる力」を育むため、
教育現場の知見とAI技術を融合させ、
チーム全員で課題に取り組んだ挑戦の軌跡。

Y.A.

オープンイノベーション推進部 チーフ
2012年入社

プロジェクトマネージャー(PM)として、
ソリューションの立案とシステム開発のQCD管理を担当。
お客さまの獲得にも奔走する。

M.K.

オープンイノベーション推進部
2018年入社

エンジニアとして開発全般を担当。
プロンプトエンジニアリング開発、
AWS基盤の設計・構築、AIプロンプト設計に取り組む。

M.O.

オープンイノベーション推進部
2024年入社

サービス価値検証・方向性づくりを担当。
入社1年目から『まなりぴ』の学術的価値検証、
市場分析、新規事業創出に携わる。

Theme 01

「教育への思い」から立ち上がったプロジェクトが専門家と手を組むことで進み出した

若手メンバーが中心となり新テーマに挑む。

Y.A.

『まなりぴ』のプロジェクトは、元々、SCCが所属するeDCグループが教育に力を入れているという背景からスタートしています。私たちが目指すのは、「将来の情報化社会で生きるすべての人々が豊かに暮らせる社会を実現する」こと。この目標のもと、教育に深く関わるプロジェクトを立ち上げようという話になったのがきっかけでした。

M.O.

当時、GIGAスクール構想(※1)で1人1台端末が整備され、教育現場のデジタル化が進んでいましたよね。でも一方で、児童・生徒が知識を覚えるだけで「わかったつもり」で終わってしまうという課題が強く認識されていました。従来の暗記学習から脱却し、知識を応用できる「本当の理解」をどう育むかが重要視されていたんです。

Y.A.

まさにその課題を解決するために、学びの深い理解と復習に重きを置いたサービスを作るのはどうか?というコンセプトが固まりました。その具体的な形が、端末上のAIパートナーと対話しながら授業を振り返り、「自分の言葉で説明できる力」を育むサービス、『まなりぴ』です。このコンセプト自体は、最初からブレることはありませんでした。

M.O.

コンセプトが決まってからは、「どう復習することが本当の学びにつながるのか」という仮説をひたすら立て、調査し、検証を繰り返す日々でしたね。

Y.A.

私たちはITの専門家ですが、教育の専門家ではありません。ですから教育学の専門家である大学教授と協力して進めるのが最善だと考えました。その結果、青山学院大学の教授と共同研究という形で連携させていただけることになったんです。

M.K.

プロジェクトは最初Y.A.さん一人で始まったと聞いてますが?

Y.A.

そうなんです(苦笑)。途中でM.O.さんや別のメンバーが加わり、その後、本格的な開発フェーズに入ったときにM.K.さんが合流し、ようやく現在のチーム体制が整いました。

M.K.

私は2025年4月頃に開発担当として合流しました。AI開発は初めてでしたが、新しい技術に携わることになり、テンションが上がりましたね(笑)。

※1「GIGAスクール構想」…全国の子どもたち全員に、1人1台の端末と高速ネット環境を整備し、学びをデジタルで支える文部科学省の取り組み

Theme 02

価値ある学びを届けるためにそれぞれの持ち場で取り組んだこと

Y.A.

私はプロジェクトマネージャー(PM)として、ソリューションの立案とシステム開発のQCD(※2)管理を担当しています。私の役割は「お客さまにとっての価値」の仮説を立て、それを形にしていくことです。「多分便利だろう」という思い込みではなく、お客さまの現場で生の声をたくさん聞く。そして「お金を払いたいと思えるほどの価値」があるかをリサーチしながら設計していく必要があると考えました。

M.O.

私は2024年に入社し、10月頃からこの新規プロジェクトに加わりました。正直「自分で良いのだろうか」という不安は大きかったですよ。

M.K.

そうですよね。新卒1年目ですもんね。

M.O.

でも「ITの力で社会に貢献したい」という思いをSCCに評価され、期待に応えたいという強い思いで取り組んでいます。私の役割は、サービスの価値検証と方向性づくりです。特に、「学術的価値」「市場価値」「アジャイル開発(※3)」の3つの観点からサービスを推進しています。大学教授から得た学習理論の知見を開発チームに共有し、教育現場のリアルなニーズと技術のバランスを取りながら、サービスを本当に役立つ仕組みにすることがミッションです。

M.K.

私は開発全般を担当し、サービスを安定稼働させるためのAWS(※4)を中心としたインフラ基盤の設計・構築に注力しています。それに加えて、AIとの対話を司るプロンプト(※5)エンジニアリングも担当しています。AI開発は初めてでしたが、AIがあえて「知らないふり」をして問いかけることで、児童の自分の言葉で説明する力を育むという、このサービスの核となる対話設計には、特に細かく配慮しました。

※2「QCD」…Quality(品質)・Cost(コスト)・Delivery(納期)の3つをバランスよく満たすことを指す、プロジェクト管理の基本指標
※3「アジャイル開発」…作っては試し、意見をもらいながら小刻みに改良していく開発方法
※4「AWS(Amazon Web Services)」…Amazonが提供している、世界最大級のクラウドサービス群
※5「プロンプト」…AIに入力する指示文。プロンプトエンジニアリングとはAIに正確に動いてもらうために、プロンプトを工夫して作る技術や方法

Theme 03

立場を超えて対話を重ねるSCCの風土のもと、多様な視点を持つメンバーが密に連携

M.O.

開発チームとの連携は非常に密に行っています。現在は、協力会社の方々を含めた開発チームとほぼ毎日アジャイル開発のミーティングに参加しており、大学教授や現場の先生方から得た知見やニーズを共有し、機能設計や仕様検討を進めています。

M.K.

M.O.さんが教育現場のニーズを的確に伝えてくれるおかげで、私たち開発側も、利用者の視点に立ってAIの出力調整に注力できています。例えば、小学生の低学年だと漢字を習っていない場合があるため、児童が理解しやすい話し方や表現になるよう、プロンプト設計には細かい工夫を反映しました。

Y.A.

正解がわからない新規事業を進める上で、多様な視点を持つメンバーが密接に連携することは不可欠ですよね。全員が同じ方向を向き、議論を重ねることで、困難な状況も乗り越えられています。

M.O.

特に議論の初期段階で難しさを感じたのは、大学教授の知見、学校の教員のニーズ、そして実装可能性の三者間のバランスを取ることです。SCCには先輩・後輩といった立場に関係なくお互いを尊重し、対話を重ねる文化が根づいているので、柔軟に考え方を更新しながら最適解をつくっていくことができています。

Theme 04

ファーストユーザーによる実証実験がスタート
児童、教員、そして教育界全体への貢献を目指す

Y.A.

GIGAスクール構想のその先にある「AIによる個別最適な学び」を実現することが、社会への大きな貢献だと考えています。ただ、ファーストユーザーの獲得活動は大変でした。教育業界とのコネクションが全く無いところからのスタートで、何人もの大学教授にアプローチしました。その結果、ご紹介を通じて、挑戦を尊ぶ精神を持つS小学校様と繋がることができました。

M.O.

現在、S小学校の5年生の社会科(歴史)を対象に1ヶ月間の実証実験を行っています。児童には休み時間や自宅での自習時間に『まなりぴ』を使ってもらい、小テストの復習を通じて、学習効果と意欲の変化を評価します。

M.K.

自分が手をかけて構築したAIシステムが、児童にとってプラスになる結果をもたらしてくれることを強く願っています。AIの出力調整にはまだ緊張感が伴いますが、この実験結果がサービスをより良いものへと磨き上げるための重要なデータになると確信しています。

M.O.

『まなりぴ』は教員の方々の負担軽減にも貢献します。AIによって児童一人ひとりのつまずきやクラス全体の傾向をダッシュボード(※6)で把握でき、次の授業改善や個別指導の判断に役立てることができます。児童が授業外でAIと復習することで、教員の方々への個別質問対応が減少し、業務負担の軽減にもつながるでしょう。

※6「ダッシュボード」…必要な情報をまとめて、ひと目で状況を把握できるようにした画面

Theme 05

これからも『まなりぴ』を進化させながら
「教育サービスといえばSCC」という認知を獲得する

M.O.

将来的には、教育分野にとどまらず、医療や福祉、公共といった社会課題の解決につながるサービスづくりに携わりたいと考えています。今回のプロジェクトを通じて、強い思いを持って行動すれば社会に確かなインパクトを与えられるという手応えを得ました。日本が抱える高齢化などの大きな課題をITで解決できるソリューションを提案・推進していきたいです。

M.K.

私は、『まなりぴ』で培ったAIを活用した開発やプロンプト設計の経験を活かし、AIに関連した業務に引き続き携わりたいと考えています。また、AWSの資格取得などで知識を深めているクラウド基盤の設計・運用分野でも力を発揮したいです。AIとクラウドは今後ますます広がる領域であり、この両方の知識を組み合わせることで、SCCでより効果的かつ安心して使えるサービス作りに貢献したいですね。

Y.A.

私は引き続き、教育業界に貢献するサービスを開発していきたいです。これはeDCグループ創業時の思いでもありますし、私自身、子どもたちに「理解する楽しさ」を知ってほしいですから。将来的には、『まなりぴ』を進化させることも含め、「教育サービスといえばSCC」と世間一般に認知されることを目指していきます。